京都上桂をベースとする共同体

2010/08/29

諦らめでも沈黙でも反発でもなく、かわいらしく提案すること、そしてそれを実践すること。

21日に行なわれた山本さんのイベントの報告、それにつながるParasolにおける自身の振り返りと提案、中島視点。




ということで、まずイベントの流れ。
第1部 アートとアクセシビリティに関する握微のアクション
で、山本さんが最近遭遇されたアートイベントへのアクセスに関するさまざまなトラブルの紹介。
・企画者と受付係との間でのコンセンサスが十分でなく、料金の誤徴収が行なわれたこと。
・メールの送信ミスで多数の人間のメールアドレス(個人情報)が流出してしまった事故。
・企画主体の決定が遅く、WEBサイトに料金が明示されなかったこと。
等々、企画をする人間からは少々耳の痛い(やってしまいそう)例が続く。
そして山本さんはそれらの「私もやってしまいそうだから」と目をつむりがちなミスを見逃さない。そうすることで、その根底にある、企画者側の「なあなあ」とあぐらをかいた怠惰、鑑賞者側の「企画者にお任せ」な受け身の姿勢、それらを批評するべき第三者の視点の欠如を暴いていく。それだけだったら、「言っていることは正しいけど、ちょっとやな奴」だ。

そこで第2部、「余所見」は何処を見ているの?では、企画者/鑑賞者の一方的な関係ではなく、中間地点の可能性を探っていく。
山本さん発案のメーリングリスト「今行処」では、ML参加者が「今から〜を見に行きます。」というメールをなげかけ、面白そう!よさそう!(とただ言っているだけ)の段階ではなく実際に(時間とお金を費やして)行くに至るレベルの情報が共有される。
今回ゲストの米子さん主宰のWEBマガジン「余所見」では、実際に誰かが見たり聴いたりしたことについての記事が掲載されていく。そこでは、主催者側の「おもしろいよ」という一方的な告知でもなく、結局主催者側から提供された情報を集めただけのポータルサイトでもなく、実際に行った人の体験談が語られる。特筆ですべきはそれら体験談が匿名の投稿ではなく、個人名を挙げていることだ。それは受け身の鑑賞者ではなく、かつての"目利き"が担っていたような、自己を持ち働きかける鑑賞者。それは白黒はっきり分かれがちな企画者/鑑賞者の間に豊かな色彩のグレーゾーンを作りだす。

そして第3部 最終秘儀「SEN」では、書籍を特定する為の国際共通の番号付けISBNのようにイベントをナンバリングしていく提案。実際に運用するとなると、基準・手順その他もろもろの「どうやって?」の疑問が浮かぶのだけど、でもまず「SEN」が必要ではないかという声がとても大切なことだと思う。そう考える山本さんの視点って、アートに対してどこまでも妥協しておらず、誠実だ。

この誠実さと「言っていることは正しいけど、ちょっとやな奴」のイメージが私の中でいつもひっかかっていた。「いつも」というのは山本さんが遭遇する事故のことがなぜかよく耳に入ってくるからだ。「最近、どこどこのスペースでだれだれと言いあったらしい」という話を聞くたび、山本さんはどういう人なのかが気になっていた。それで一度人づての話ではなく、本人と直接は関わってみたいと思ったのが、このイベントをしてもらうことになったきっかけ。
イベントをすることになって、打ち合わせやメールのやり取りなどを通じて知った山本さんはやはり誠実だった。ヤフオクなら「このたびは迅速・丁寧にお取引いただいて感謝しています」というコメントつきの非常に良い評価をつけるところ。(ヤフオクにたとえて失礼。)
だからこそ、山本さんが事故に遭遇すると事件になることをもどかしくも思う。
以前働いていたある美術系の公立施設で(偶然にもそこで山本さんを初めて知ることになるのだけど)、私は見逃したくないことに下手に"抗議"し、反発と対立が生まれ、何人かの人々を不快にした。"見逃したくない"ことに口を閉ざさなかったは今も悪くなかったと思っているけれど、その口の開き方は後悔している。

まあ、やりかたはそれぞれだ。それぞれなので、ここでさらに自分を振り返る。
イベントの来場者の少なさに、「いい内容の企画なのになんでやねん」と怒り、「まあでもこんなもんだろう」と諦め、「来ない人が悪い」と開き直りそうになる。
けど大切なのは、「なんでだろう?」と疑問を持ち、「いいと思うからもっといろんな人に知って欲しい」と願い、「どうしたら来やすくなるか」と考えることだ。
そうして生まれるアイデアを苛立たしげでなく、かわいらしく提案すること、そしてそれを実践することではないだろうか?

ということで、ひとまずCollective ParasolのWEBサイトをまず検証中。
今、外へ向けているパラソルの窓口はスペースとWEBサイトになっている訳だけど、blogをwebサイト風に使用するのはやっぱりわかりにくいんじゃないだろうか?というのは窓口となるindexページには時系列で情報が上がっていくため、イベントの告知も記録もそのほかさまざまな情報が混ざっていく。WEBサイトはWEBサイトで確実に情報を提供し、ライブなつぶやきをblogに載せていくべきじゃないだろうか?と、ここまでは大多数の人が考えていることだろう。
そして次の段階、実践にうつせるかどうかですね。
きゃー

2010/08/17

アートとアクセシビリティについて考える夜

「アートとアクセシビリティについて考える夜」

[日程] 8月21日(土)
[時間] 19時より21時まで
[会場] Collective Parasol 1階
[料金] 無料。予約不要。

[企画]
山本握微
普通芸術家。劇団乾杯主宰。この度、ご縁がありまして。
http://www.kiwamari.org/

[ゲスト]
米子匡司
音楽家。FLOAT管理人。「余所見」主宰。
http://www.chochopin.net/
http://www.yosomi.jp/

[進行予定]
第1部 アートとアクセシビリティに関する握微のアクション
第2部 「余所見」は何処を見ているの?
第3部 最終秘儀「SEN」

[口上]

こんな体験したことないですか。あー展覧会今日までだっけかと思ってお出掛けしようと、あの美術館なんだかんだで行くの初めてやわ何処にあるんそういえば、つってネットで検索、すぐにサイト見つかってネット社会恐るべし、と現代人の喜び噛み締めるも束の間、トップページにゆっくり浮かび上がる意味無いアニメーションに苛々、急いでいるのにー、やっと小さな「SKIP」見つけてランランラン、で場所どこや、と探すも、わかってるちゅうねん開催中の情報とか「次の展覧会」「友の会のご案内」とか色んな項目の中から、肝心要「地図」とか「場所」とか載っていなくて、どうすりゃいいの、かにかにどこかに?と途方に暮れていたら、右上辺りに「美術館概要」と、これだけ特権的に見辛くしているような文字、ここかなとクリックすると「そも宇宙開闢云々」と美術館が出来た歴史長々と、いよいよ絶望して目を伏すと更に細分化されたところに「Access」の横文字、すわ苦し紛れにクリックしてようやっと正解、地図の画像、そうだこの画像を携帯に入れて持っていこー、と保存して携帯へ転送、で単独で見たらGIF画像で白だった背景色が黒になって読めない、なんてこと。別にないですか。「アクセスって悪戦苦闘の略かい!」って突っ込んだこと、ないですか。そうですか。

アクセシビリティとは文字通り、アクセスのし易さ、近づき易さ、のこと。例えば建築に於いては「バリアフリー」なんかも関係するかと思いますが、そもそもそこに辿り着くための「情報」も、その範疇にあるかと考えます。
アートと社会性・公共性が結び付けられて語られる昨今、しかし何故、そこに辿り着く人は限られているのか。そこにいるのは「それっぽい」人たちだけなのか。アートとアクセシビリティについて考えることは、告知における実用的なノウハウだけでなく、現状のアートをより根源的に問うことにも成り得るでしょう。

とにもかくにも、アートが「あってしまった」今、観客として、そして作家として、如何にしてアートにアクセスするのか。

山本が実体験したアートの事件事故(京都に多いのは何故でしょう)と、有形無形幾つかの試みや妄想……アートNPO告発作品「サヨナラNPO(ニッポン)」、イベント情報共有メーリングリスト「今行処」、公募展連続落選「全藝術展」「カムインカム展」、モジュール型演劇を目論む「劇団一般化」、某トリエンナーレの参加者にナーレ「AAAAA」、そして最終秘儀「SEN」……等を惜しみなく紹介、叩き台にして、お話しましょう。

また、音楽家にしてオープンスペース・FLOATの管理人、米子匡司さんをゲストに招き、現在公開製作中のウェブマガジン「余所見」についてお話を伺いたいと思います。かつては「文化のLPガス」とも称されたL誌もP誌も紙媒体として消えつつある今、「人の視点」を出発点としたこの媒体がどのようなアクセスを導くか。その発端と、今後の展開をお伺いしたいと思います。
また、プログラマー、ウェブデザイナーとして、各種の「情報」に関わる立場からも、あわよくばお話を聞きだしたいと目論んでいます。


この企画に併せ、山本握微「運動展 *碑*」もささやかに開催中。窓辺に置いてあるので、時間に関係なく外からご覧いただけます。アクセシブルですね。夜だと暗くて見えないかもしれませんが。

"コレクション・パブリッシュ・コモンズ"アートと所有の関係を考える

トーク/ミーティングイベント
「"コレクション・パブリッシュ・コモンズ"アートと所有の関係を考える」
[日程] 8月20日(金)
[時間] 19時より
[料金] 300円(資料コピー代)
[司会] 作田知樹 (Arts and Law)
[ゲスト] 岡本光博 藤井光


**
Arts and Lawがcampと共催で東京で開催してきたトークシリーズ「アートと公共性の関係を考える」の特別編。

今回は半公開ミーティングとして、表題のテーマについて、ゲストのアーティストの活動を参照しながら、ここまでのシリーズで見えてきた論点のブレインストーミングを行ないます。
その結果から浮かび上がるものを参加者とともに考えていきます。

自分たち自身が行って来たものを含め、近年日本で行われてきたアートと公共性についての研究や議論を俯瞰します。さらに、いままたこの問題に取り組む研究会やイベントを手がけている複数のグループに対して、今問うべき論点、残すべき試みは何かを考えます。

2010/08/16

Time Traveler × 5

**映像上映イベント、詳細決定しました!!**
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[日程] 8月22日(日)
[時間] 18時頃より21時まで。
[会場] Collective Parasolの1・2階
[入場料] お一人500円 ワンドリンク付き。

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どうぞお越し下さい!!




「映像を作る者は、一種のTime Travelerである。」


いったん出来上がった映像作品は、作家が意図する/しないところも含め、
それ独自の時間と質を持ち始めます。現在から自立し、存在を始めます。
映像作品を通して、作家は時間を旅し、作品は時間を旅し、見る人もその
旅を体験するのです。
今回の映像イベントでは、「時間」について明確な意識をもって制作して
いると思われる5人の映像作家を集めて、その「作品」と「語り」を上映
いたします。
京都では1日限りのイベントとなります。ぜひおいでください。
(by カトウ チカ)

企画(カトウチカ+永岡大輔)

<参加作家>

狩野 志歩
松本 力
永岡 大輔 
ポーワング  
カトウ チカ




<作家プロフィール>

狩野 志歩(かのう しほ Shiho Kano) 

武蔵野美術大学映像学科卒業

1996年より8mmや16mmフィルム、ビデオによる映像作品を制作し、国内外の映画祭などで上映。近年はビデオ・インスタレーションも手掛け、東京都写真美術館など美術館、ギャラリーでも作品を発表している。2010年2月は、ポートランド・インターナショナル・フィルムフェスティバル(アメリカ)、7−9月には「Sense of Realityー僕らの世界のつくり方ー」(市原市水と彫刻の丘)で発表。


松本 力 (まつもと ちから Chikara Matsumoto)

1991年 多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン専攻卒業

ドローイングに透過光を加えたビデオ撮影のアニメーションの制作で、絵による映像表現を目指している。異ジャンルのアーティストとのコラボレーションも多く、特に音楽家「オルガノラウンジ」や「VOQ」の本多裕史のライヴに参加し、映像と音楽の音像空間表現を行う。映像作品の国内外での展示や、手製映像装置「絵巻物マシーン」シリーズを用いたワークショップを商店街や病院、学校などで子どもたちと積極的に実施している。



永岡 大輔(ながおか だいすけ Daisuke Nagaoka)

2003年 MA in Fine Art .Winbledon School of Art

ロンドンで修士課程を修め、帰国。その後は世界各国で作品を制作、発表。bicameral worldなど映像イベントも企画。描いては消してを繰り返すことで産まれる映像。その結末は、常に作者の意図を越えていく。2010年10月30日国際アニメーションデー(京都日仏学館/http://ifjk.jp/events/custom/11)や12月22日より台湾のギャラリー就在藝術空間で発表予定。



ポー ワング
 (ぽー わんぐ Poh Wang)

東京をはじめ、オランダ、スコットランドなど世界各地で作品を制作、発表。社会に潜む「あたり前」に疑問を投げかけることをテーマにおかしみや悲哀に満ちたインスタレーションやビデオ作品を制作している。2010年8月−11月まで、神山アーティスト・イン・レジデンス(徳島)にて滞在。



カトウ チカ (かとう ちか Chika Kato) 

2002年 東京芸術大学美術学部絵画科卒業

映像や写真、そして「イメージを運ぶもの」を使い、空間にゆるやかな思考とイメージのネットワークを作って行く。この空間を訪れる者も、作品の要素となっていく。最近は、イメージの認識について、写真と映像を使って考えている。

2010/08/11

ちょっと遊んでみる今日。






『マシニスト』を見て、それから佐藤雅彦『midnight animation』で遊んで(うえの写真。赤と緑の画面でそれぞれ見える絵が変化する本)、山村浩二『カフカ 田舎医者』を見た。

映画の感想、眠ること、夜のイメージ、本のこと、大学の話、人付き合いについて、、、
場所が変わると話す内容は変わり、誰とどう過ごすかで場所は変わる。

今日の映画上映、バイトで行けなかったけど、今度ホラー見ようとさっき友達がメールをくれた。
ひとりで見るのが嫌なものは誰かとなら見れるかもしれない。
そういうきっかけとなるスペースとか、活動とか、いいなと思う。
(記:中島)

2010/08/09

8/11、眠りたくなる(?)映画見ます。


8月11日19時頃より、ささやかに映画鑑賞会を行ないます。
夏の夜にふさわしくサスペンスです。

2004年製作、ブラッド・アンダーソン監督による「マシニスト」

映画に興味ある方はもとより、Collective Parasolって、どういうところかしらと興味を抱いておられる方も、お気兼ねにお越し下さい。
入場料等はありません。
食べ物や飲み物等持ち寄ってくださると嬉しいです。
(記:中島)

2010/08/08

半プライベート・パーティしてました。

今日は友人を呼んでパラソルで映画鑑賞。
百均のお菓子とお惣菜と缶チューハイを味わいながら、「ブライダル・ウォーズ」と「2001年宇宙の旅」を見た。





映画見て、ご飯食べておしゃべりしてって、自宅で前からちょくちょくやってて(今はやりの"女子会"と称して)、それをわざわざParasolでやることに意味はあるのかとか、思わなくもないけど、やってから意味を見つけてもいいんじゃないかととりあえずやってみる。
いや、本音を言うと気の置けない友人と家飲み会をしたかったけど、家が散らかってたのだ。こういうときに家の近くに自由に使える場所があると便利ですね。

(記:中島)

2010/08/06

8月のCollective Parasol

こんにちは。
8月のCollective Parasolは映画上映、トークイベント、フリーマーケット、展覧会、、、そんなことをしながらできるだけたくさんの日、オープンする予定です。
京都藝術2010という京都のアートスペース、スタジオなどをまとめて紹介する企画に参加しています。
http://www.kyotoarts.com/

というわけで、現在の予定。
[イベント](詳細はあらためて更新します)
8/20 トークイベント
8/21 トークイベント
8/22 映像上映イベント
8/28 フリーマーケット

[イベントのない日]
オープンアトリエとして夕方にオープンしています。
作業をしたり、本を読んだり、映画を上映したりしています。
いくつかの平面作品も展示しています。
本の貸し出し、一部販売もしています。
どんなところか一度見てみたいという方、近くに来られる方、気軽にお越し下さい。

[お休みの日]
8/6,10,20はお休みです。
それ以外の日も急な用事で開けれなくなることがあります。
イベントのない日に来られる方は一度お問い合わせいただくと確実です。
*問い合わせ→ nkjm0423@yahoo.co.jp (担当:中島)